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認知症の義母が遺したもの(7)

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義母との温かい思い出もあるけれど
義母の葬儀では涙一つでなかった。

三年にもわたる介護に疲れ切っていた
というのもあるけれど
葬儀の手配に忙しかった
せいでもある。

身内が亡くなると
とにかく忙しいのだ。
葬儀の段取りは葬儀屋がやってくれたけれど
遺族としてお客の接待をしたり

配膳や参列者へのお酌や
お茶の準備などでほとんど座って
いられなかった。

夫は喪主なので
雑用はやってくれない。

頼みの義姉は、葬儀の手配も客の世話も
私に任せきりで泣いてばかりだ。

ショックなのはわかるから
仕方ない、と放っておいたら
義姉が、私の夫に話しかける声が聞こえた。

義姉「やっぱりナナミさんは冷酷だわ。
涙一つ見せないんだから」

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