子供を置いていく代わりに財産を半分寄越せとミキから要求される。子供を諦めてくれるなら、と要求をのむことに。あまりのショックに慰謝料を請求することさえ忘れて。
ガックリと肩を落として項垂れる俺。
ミキはあらかじめ用意していたのか、離婚届けを俺の前に突きつけた。
まるで、死刑宣告でも受けているかのような気分だった。
どうあがいたところで、結果はもう変わらないのだ。
俺は差し出された離婚届に泣く泣くサインする。
ミキが感情のこもっていない声で「ありがとう」と言う。
ミキ「そうそう、さっき言ったようにマナはあなたに譲るわ。でもその代わりに、あなたの財産を半分欲しいの」
俺「は、なんで」
ミキ「いいじゃない、それくらい。要求をのめないならマナも連れていくわ」
冷静に考えればミキの言っていることはめちゃくちゃだ。
浮気をしたのは自分なのに慰謝料を払うどころか、金を寄越せだなんて。
しかしこの時の俺には冷静に事を判断する余裕がなかった。
俺「本当に、それでマナを諦めてくれるんだな……?」
ミキ「ええ」
ショックのあまり慰謝料を請求することさえ忘れて、俺は彼女の要求に従ったのだった。
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