私は震える指で
アヤの部屋のチャイムを鳴らした。
けれど、アヤは出てこない。
「留守なの?」
ドアノブをさわると、鍵がかかっていなかった。
私は恐る恐る、ドアを開けた。
部屋の中から、いたしている声が聞こえた。
まるで、デ・ジャブだ。
玄関に置かれている靴を見ると
まぎれもなく夫のものだった。
私「…なにしてるの」
話しかけて、ようやく気付いた夫とアヤ。
夫「お、お前…」
夫は真っ青になった。
でも、アヤの態度は対照的だった。
アヤ「人の部屋に勝手に入り込むのは、
ずうずうしくないですかぁ?」
私「ずうずうしいのは、あんたでしょ!?
懲りもせずに、人の夫に手を出して!」
アヤ「盗られたくなかったら
鍵でもかけて、大事にまもってたらいいじゃないですかぁ。
息子さんも、パパさんも、アクセサリーも…」
アヤが言い終えないうちに、私はアヤを平手打ちした。
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