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認知症の義母が遺したもの(6)

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そうはいっても
私は義母を
憎んでいたわけじゃない。

好きとは言えないまでも
決して、嫌ってはいなかった。

だって、認知症になる前の義母は
優しくて、理解のある人だったのだ。

子どもができない私たち夫婦にも
「夫婦の暮らしを楽しめばいいわ」
と、温かい言葉をかけてくれた。

足を骨折した時も
義母「ナナミさん、迷惑をかけてすまないね。
いつもありがとうね」
と、言葉をかけてくれた。

ある時
義母「私が死んだあとのことだけど…」
と話し出したことがあった。

私「縁起でもないこと、言わないでくださいよ」
義母「いずれは起こることよ。あのね、
私のヒスイの帯留めをあなたにもらって欲しいの」

ヒスイの帯留めは
義母が一番大切にしている
宝物だ。

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