興奮した夫は、夜中だというのに
音を立ててリビングのドアを閉めた。
たぶん、このまま風呂に入らずに
自室で寝るのだろう。
私はリビングで割れたマグカップを拾い集めた。
どん底に突き落とされた気分だ。
知らず知らずのうちに涙がこぼれた。
3万円のアクセサリーがもらえると思っていたのに
100均のマグカップだったなんて…。
楽しみにしていた自分がバカみたいだ。
けれど、それよりなにより
目の前でたたき割った夫が
怖かった。
「でも」
と私は、手を止めた。
「だったら3万円のアクセサリーは
何のために買ったんだろう?」
「もしかして浮気?」
夫はカタブツだ。
浮気だなんて、信じられない。
けれど夫は変わってしまったのかもしれない。
私の誕生日だと知ってて上司と飲んで帰るなんて
以前ならあり得なかった。
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